【アルキメデスの大戦】数学の天才は戦時中の日本を救えるか


アルキメデスとは古代ギリシアの数学者、物理学者である。

そして「アルキメデスの大戦」は、数学の天才である主人公の櫂直(かい ただし)が、アルキメデス的な思考や発想で、大戦に立ち向かうという物語である。

舞台は日中戦争、第二次世界大戦前の1933年の日本であり、世界各国が軍事力を高め、他国へ侵略を目論むような時代だ。

前年の1932年に大日本帝国陸軍(関東軍)は大陸に満洲国を建国し、帝国海軍においては巨大戦艦・大和の建造を今まさに行おうとしていたところだった。

巨大戦艦不要論

平山忠道造船中将が計画していた戦艦大和の建造を、海軍少将である山本五十六はどうしても阻止したかった。

というのも山本はこの先の戦争は戦艦同士の戦いではなく、航空機が主体になると考えており、巨大戦艦よりも空母や航空機を造った方がよいと考えていたためである。

山本は大和建造案を阻止しなくても、世界最大級の戦艦建造には莫大な国家予算を費やすことになり、新型戦艦建造計画会議で大和が採用される確率は少ないと考えていたのだが、平山らは大和の費用を改竄していたため、実際より遥かに安く見積もりがされていた。

そこで、その不正を暴くべく白羽の矢が立ったのが、東京帝国大学数学科の学生である櫂直である。

山本が櫂直をなんとか口説き落とし、帝国海軍主計少佐として迎え入れ、大和の見積もりの不正を暴くのだった。

大和建造の肯定派と否定派に分かれる理由とは

日露戦争の戦艦同士の戦いで勝利を収めたことにより、戦艦に対する絶対的な信頼があったことは予想できる。また、当時は航空機の技術はまだ進んでおらず、航空機同士の空中戦が戦争の主体になることは、想像が難しかったのだろう。

そこで、従来通りの強い戦艦建造を推し進める者と、時代の先を見据えて航空機の作製を推し進める者がいたため、大和建造には肯定派と否定派がいたのは確かだろう。

しかし、実情はそれに加えて個々の権益や思惑が渦巻いていた。

当時、戦争で使用する戦艦や航空機なのは、民間企業が造ることも多かった。

各企業が海軍や陸軍に自社の製品を売り込み、中には軍関係者と癒着して儲けようとする、汚い手を使う者も少なくなかったのだろう。

とどのつまり、戦争と言っても国民が国家の勝利のために、同じ方向を目指しているとは限らない。

いつの時代も、基本的には個人の利益を優先しようとする資本主義社会なのだ。

そして、戦争とは国家の一大産業というのが現実だ。

櫂直の本懐とは

もともと櫂は戦争や軍隊が嫌いなため、海軍に入ることを強く否定していた。

権力争いや利権獲得のために、税金を好き放題使っている軍人やその関係者たちに嫌悪感を示していたのだ。

そんな彼が海軍に入ったのは、国民の血税の無駄遣いを阻止するためだけではない。

櫂の本懐は戦争を起こさないことである。

従来の考え方として、国同士の軍事バランスが崩れると戦争が起きやすいとされている。

戦争を起こさず、国際秩序を意地するには各国の勢力を均衡させなければならない。

そして、世界が協力して軍縮を進める必要がある。

つまり、単純に無駄遣いをさせないために大和建造を阻止するのではない。

戦争を止めるために巨大戦艦が必要であれば、迷うことなく建造するというのが櫂の考え方である。

基本的に優しい人物なのだろう。櫂は平和主義者なのだ。

悪意のある戦争を起こさないために

上述した通り、戦争は権力争いや権益獲得など様々な思惑の中で起こされることがある。

正直なところ、そんなことで多くの犠牲者が出るのだから、一般の国民にとってはたまったものではない。

また、戦争に限らず世界的な大きな出来事には、権力者たちの利権争いによって引き起こされることが少なくない。

建前は人命が第一と謳っているが、本当のところはどうか。

アルキメデスの大戦はあくまで漫画の物語だが、現実でもこのように悪意を持って戦争が起こされる場合があるかもしれない。

犠牲者を増やさないためには、我々は表向きの情報に流されず、一人一人が情報リテラシーを持って悪い権力者に立ち向かう必要があるだろう。

 

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