【ジパング】原子爆弾の投下されない新たな日本を作り出す

1945年8月6日、広島市に世界初となる原子爆弾が投下される。

そして、1945年8月9日、長崎市に世界で2つ目の原子爆弾が投下され、同年8月14日に日本はポツダム宣言を受諾し、後日終戦を迎える。

以降、世界で原子爆弾(核兵器)は使われておらず、日本は世界で唯一の被爆国となっている。

そのような終結を迎えた第二次世界大戦真っ最中の1942年に、200X年の自衛艦隊のイージス艦「みらい」が、タイムスリップして戦争に巻き込まれるというのが本作『ジパング』である。

 

未来を知ってしまった大日本帝国少佐が戦後日本を変える

「みらい」がタイムスリップしたことに乗員たちが気付いた後、目の前で一機の零式観測機が撃墜され、水没しそうになっていた。

それを見た副長の角松洋介が、零式観測機に乗っていた帝国海軍の草加拓海少佐を救出したことから全てが始まった。

本来、そこで亡くなる筈だった草加が救出され、みらいの資料室で第二次世界大戦の結末や、戦後の日本の姿を知ってしまう。

きっと草加は戦後の日本を、自身が思い描く理想的な国家とは思わなかったのだろう。

そして、彼は大日本帝国でも戦後の日本でもない新たな国家「ジパング」を創ることに奔走することになる。

 

現代の日本は平和主義過ぎるのか

24万人以上の死者が出た2つの原爆投下は、日本にとって最悪の結末だったといえる。

ただ、これによって日本は無条件降伏を受け入れ、以降21世紀まで二度と戦争は起こさないという国家が続いたのは事実である。

1950年にGHQの指導によって警察予備隊が設置され、後の自衛隊という形で武装組織は持っているものの、自衛隊は専守防衛に徹してきた。

大日本帝国の行いを猛省し、平和第一の国家がつくられているのは良いことだが、時として日本の外交は過剰な専守防衛を行うことがある。

また、無条件降伏の受諾によって、多くの不利な条件を呑むことになり、国際連合ではドイツ、イタリアと共に常任理事国にはなれておらず、国際的には強い立場とはいえない。

その根底には第二次大戦で原子爆弾が投下され、国家として深い傷を負ったことにあるのだろう。

もしも、違う形で日本が終戦を迎えていたら、現在の日本とは異ったより良い国家ができていたのだろうか。

歴史を変えることができていたならば、理想の国ができていたのだろうか。

 

理想的な国家とは何か

その点に関してはここで言及するつもりはないが、人それぞれ理想的な国家の形があるのは確かである。

この漫画で言えば、21世紀からきた「みらい」の副長である角松洋介は、どのような状況においても戦争を否定し、人種を問わずに人命を尊重し、戦争を否定する考えを持つ。

それに対し、草加は戦後において他の先進国と対等に渡り合い、米国に頼らず自衛して国際協調できる国家を目指そうとする。

ただ、草加が理想とする「ジパング」を創るためには、無条件降伏という結末は絶対に迎えてはならない。

したがって、この戦時下において、それなりにアメリカ人または日本人の犠牲が出ることはやむを得ないと考える。

その点で角松の思想とは対立することになる。

しかし、少なくとも彼らに人種や国籍による差別意識はなく、誰よりも国家や人命のことを考えて行動しているのは確かだ。

人それぞれ正義の形は違うけれど、彼らのように真剣に考えて行動できる姿はすごいものだ。心より尊敬する。

果たして現代の政治家たちに彼らのように、国や国民のことを真剣に考えて行動している人間はどれほどいるのだろうか。

 

現実世界でのジパング

戦前を反省し、自己犠牲をしても国際平和を協調する現在の日本は、良い面があれば悪い面もある。

もしも、それ以上に理想的な国家が創造できるなら、創るに越したことはない。

タイムスリップして、現在の日本を変えようというのはあまりにSF過ぎて現実的ではないが、国民や政治家の努力によって、いつか今の日本とは違う「ジパング」が誕生するかもしれない。

それは角松が理想とする国家なのか、草加が理想とする国家なのか、それとはまた別の形の国家なのかはわからない。

しかし、少なくともそれは人種や国家を超越し、平和を維持できるものだと願いたい。

 

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