【係長島耕作】サラリーマンとして一番いい位置にいるのは係長だ

すでに会長職を退き、相談役となっている島耕作。

課長からはじまった島耕作シリーズも出世し過ぎて、まだ先が見えない。

そんな中、課長以前の島耕作の物語がいくつか連載されており、この『係長島耕作』は課長になる直前を描いたものだ。

時系列としては、「学生島耕作」→「学生島耕作〜就活編」→「ヤング島耕作」→「ヤング島耕作〜主任編」→「係長島耕作」というところだ。

係長時代まで登場したことにより、島耕作の人生はほぼ全て露わになった。

 

係長とは

会社によってその扱いが異なるが、係長は一般社員とは違い、課長、部長、取締役などの管理職に含まれる。

つまり、労働者から使用者(雇用する側)になる第一歩というところだ。

島耕作が務める初芝電器産業株式会社では、労働組合にも属するため、半分労働者、半分管理職という位置付けだという。

島耕作シリーズを読む限り、初芝電器の労働組合はそれなりに力があるように見える。

22以降の残業は禁止、残業手当ては係長まで必ず支給され、不当解雇されるようなことはない。

ただし、課長に昇進すると、もう労働者ではなく完全な管理職となるため、労働組合は守ってくれず、残業代は付かないため実際の収入は減る。

さらには突然解雇される可能性まで出てくるのだ。

したがって、島耕作が考えるように、初芝の係長は中途半端な位置づけに思えるが、サラリーマンとしては一番いい位置にいるのかもしれない。

 

独占禁止法違反

島耕作の係長時代はバブル前の1982年から1983年とされ、家電量販店が競争が激しくなってきていた時代である。

そんな時、物語で登場する「幸せ電器」という小売り業者が、初芝電器から仕入れたテレビを利益の出ない破格の安さで販売した。

つまり、初芝電器のテレビを「客寄せパンダ」として、販売していたのだ。

これにより、他の初芝製品を扱う小売り店のテレビは売れなくなり、初芝電器にクレームが入ってしまう。

そして、初芝電器は幸せ電器に対して「取引中止」を通告したのだが、これが独占禁止法違反にあたるとして、初芝は幸せ電器から提訴されることになる。

 

販売店の価格は拘束してはいけない

「独占禁止法」は公正取引委員会が定めるルールである。

そして、その公正取引委員会は、消費者の利益を優先するという考え方が根底にあるため、販売店同士の競争によって価格が下がることは大いに結構なことなのだ。

そして、独占禁止法では初芝などのメーカーは販売店が売り出す価格を拘束してはならず、拘束的な表現である「定価」は使わないことが望ましいとされている。

そのため、当時は「標準価格」や「参考価格」などと曖昧な表現をしていたのだが、このようなトラブルをあって「希望小売価格」と表現されることが多くなってきた。

島耕作らが言うように、「定価」や「標準価格」はメーカーが価格を決めているような”上から目線”な表記であり、「希望小売価格」の方がまだ”この価格でお願いします”というような、公正取引委員会が好む表記に見える。

しかし、近年は「希望小売価格」の表記は減ってきており、メーカーが価格を定めることができない「オープン価格」を導入するケースが多くなっている。

消費者にとっては、「標準価格」やら「希望小売価格」やら「オープン価格」やらと表記が増えて、ますます混乱を招く結果となっているが、そんな消費者を守る時代の流れには一切乗らず、究極の上から目線な価格表記をしているのは、寿司屋の”時価”だった。

 

時代に即したテーマ

このように、島耕作シリーズの良いところは、その時代にあった出来事を必ず物語としてくれることだ。

これにより時代背景をよく知ることができ、電器メーカーだけではない日本の歴史や文化を感じることができる。

価格表記一つとってもこれだけの物語があったのだから、時代、時代で壮大なストーリーがあるものだと感じることができる。

また、係長島耕作の後半では、VHSやベータマックスなど、現代の若者は知らないであろうハードウェア競争の物語が展開されており、そちらも非常に興味深い。

 

課長から始まった島耕作がどのように出世していくのかを見るのも楽しみだが、係長島耕作を読んでみて、過去を遡って時代を感じるのもおもしろいものだと感じることができた。

最近は、騎士団長になったり事件を解決したり大忙しの島耕作だが、やはり過去を含めて本編が一番おもしろいのだ。

 

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