【新・特命係長 只野仁】エロ係長から人生観を学べ

前作『特命係長 只野仁』から何が「新」になったのか。

「新・特命係長 只野仁」は、前作よりかなりリニューアルされたと思われる。

「新」では、まず只野の勤める大手広告代理店・電王堂の社員が悪さをする。そして、会長の特命を受けて只野が悪者をやっつける。最後に只野がいい女とSEXをする。という、これまでにない全く新しいストーリーで展開されている。

・・・って、ここは前作と同じか。。。

いやいや、これが無くなっては、只野シリーズではない。これは無くなってはいけない。

新しい要素としては、只野や只野の上司である佐川課長、そして新キャラクターたちが、よく人生観を語るシーンが多くなったということだ。

これがなかなか深い話をしている。

 

例えば、通勤中に只野と佐川が話していたシーン。

佐川「なんか世の中は悪くなる一方で気がめいるなぁ」

只野「今は『生みの苦しみ』に入ってるんですよ」

佐川「どういう意味だ?」

只野「経済主義から精神主義に生まれかわるための苦しみですよ。富の豊かさより心の豊かさが人生で一番なんだと、日本人もやっとそこへ辿り着こうとしはじめたんですよ」

 

2ページほどでさらりと流されたこのシーン。只野はこの若さで、人生の悟りを開いているようにも思える。

高度経済成長以降、日本を含めた先進国には物が溢れ、多くの人は十分なほどに物質的豊かさを手に入れている。

それにも拘らず、人はさらなる富を求めて、経済活動を行い、結果的に経済的な崩壊を招いている。

戦前の食糧や物が無かった時代と比べて現代は果たして本当に貧しいのだろうか。

実は、すでに我々は必要最低限の物は手に入れているのだ。

 

人間の欲は底がない。

だからこそ、必要最低限の物が手に入るようになったこれからの時代は、富の豊かさより心の豊かさを求める時代にシフトすべきだということを只野は気付いているのだ。

「新・特命係長 只野仁」では、このような人生観を語るシーンが増えている。しかも、非常にいいことを話していることが多い。

特に、離婚して一人ぼっちの佐川課長や、他の悲観的なキャラクターが悟りを開いているように思える。

やはり、人間は苦しみを経て、精神的な成長を遂げる生き物なのかもしれない。

 

本作から、只野を含めた周囲のキャラクターたちが「欲」という煩悩の支配から解放され、成長しようとする姿が見られるようになってきた。

只野はすでに「欲」を捨て、一歩先の境地に立っているのかもしれない。

ただし、「性欲」を捨てる日はまだまだ遠くなりそうだ。

 

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