【鮫島、最後の十五日】相撲漫画の最高傑作は未完の大作となった

本作「鮫島、最後の十五日」は、漫画家・佐藤タカヒロ氏の「バチバチ」シリーズ第3作目である。

バチバチシリーズは、第1部の「バチバチ」、第2部の「バチバチBURST」から本作へと連載が続いていた。

おそらくシリーズ最後の作品として描かれていた本作だったが、最終話を迎える前に作者の佐藤タカヒロさんが急逝されたため、未完の作品となった。

佐藤タカヒロさんは、20巻の表紙の鉛筆画を机に残して逝去されたとのこと。

鉛筆画はそのまま表紙絵として使われ、結果的にそれが最終巻となった。

 

大相撲をテーマとしたバチバチシリーズは、元大関の父親をもつ主人公の鮫島鯉太郎(さめしま こいたろう)が、横綱を目指して成長していくストーリーである。

鮫島の持ち味は、立合い時に頭や肩から相手にぶつかっていく「ぶちかまし」だ。

鮫島は、特に衝撃の強いぶちかましを主な武器としていたため、消耗が激しく力士としての寿命を取組ごとに縮めていた。

ただ、毎回熱い取組が鮫島によって魅せられるのだ。

 

「鮫島、最後の十五日」は、鮫島が幕内に上がってからの話。

前頭14枚目として、今回の場所に臨んだ鮫島は、毎回完全燃焼ともいえる取組を繰り返し、完全に身体にガタがきていた。

ただ、今回は取組の中で成長を続け、勝ちを重ねていた。

そして、その熱い熱い取組に毎回私を含めたバチバチファンは胸を躍らされていたのである。

そんな中、横綱との取組を前にして作者の佐藤タカヒロさんの突然すぎる悲報。

今回の場所に命を賭して鮫島が闘っていただけに、鮫島と作者があまりにも重なりすぎて見えてしまった。

もちろん、鮫島の最後がどうなるか見ていたかったが、結果的には主人公とともに作者が燃え尽きた未完の大作となった。

 

思い返せばバチバチシリーズは、全く知識のなかった大相撲の世界をゼロから教えてくれた作品だった。

バチバチによって相撲ファンとなった人は数知れず、非常に角界に貢献した漫画である。

大相撲のおもしろさや、鮫島のように一つのことに人生をかけて取り組むことのすばらしさを教えてくれた、本当に本当の名作。

われわれのような漫画ファン、そして相撲ファンにとって心に生き続ける作品となった。

あらためて、佐藤タカヒロさんのご冥福をお祈りします。

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